MESSAGE
メッセージ

企画・原作
志倉 千代丸
しくら ちよまる

宇宙を漂っていた、目的さえ持たない原子の粒が、いつしか僕の身体を構成するに至った経緯。そうやって万物の成り立ちへと思いを馳せれば、この出会いたちは紛れもなく奇跡であるのだが、同時にこの奇跡が連続して起こっていることに対して、僕はいよいよ疑問を持ち始め、科学アドベンチャーという物語が誕生した経緯へと意識は囚われていく。この世界のリアルはその全てを数式で表す事が出来る。つまり科学的であり数学的なのだ。すべての事象は必ず何らかの因果へと結ばれる事から、偶然というランダムの存在すらその立場がない。しかし冒頭に記した彼らの行動に対する因果については残念ながら未知なのだ。僕の身体や思考を構成する浮気性の原子たちはもうとっくに次のイベントへ向かう準備を始めている事だろう。同じ次元に在りながら、マクロとミクロの狭間に在って感じる事さえ許されず、ただただこうして科学を信じる以外に方法がないのだ。近く、人類史における科学の全てを否定する特異点を迎える頃、僕の「HEAD」の中の小さな空は再び「CHAOS」となり、こうして世界は何ごとも無かったかのように円環を繰り返すのかもしれない。だからこそ僕は科学アドベンチャーのシリーズを止める事が出来ない。このループの正体を暴き、抜け出すまでは。デジャブ───果たして僕はこのコメントを何万回書いているのだろうか。

プロデューサー
松原 達也
まつばら たつや

実在する街の、とあるスポットから始まる物語。そこに実在する科学と非実在のファンタジー
というエッセンスを振りかけるだけで、リアルとフィクションの境界線がこんなにも
あいまいになり、荒唐無稽にも思える超常現象がとてつもなく真実味を帯びて迫ってくる———

科学ADVシリーズ第1作『CHAOS;HEAD』のプレゼンを受けた際に強くこう
感じた事をはっきりと覚えています。

あの時のセンスオブワンダーにも似た感覚と、科学への好奇心をゲーム制作への情熱として
注ぎ込み、この少し不思議でとてもワクワクする体験を共感してもらえる物語を届けたい。

僕らはきっとどんな世界でも作り出せる。さあ、アドベンチャーゲームを創ろう。

→[NEW GAME]

シナリオライター
林 直孝
はやし なおたか

「世界を疑え。仕組みを知れ。この世界は完璧じゃない。お前の見ている景色は、本物か?」
『CHAOS;HEAD』において蒼井セナというキャラクターが語ったこの言葉こそ、科学アドベンチャーシリーズの本質であると個人的には思っている。

志倉千代丸の妄想によって生み出される膨大な設定と緻密な世界観は、それに触れるすべての人に『現実とはなにか』という問いを突き付けてくる。

作品の中のあらゆる場所に、あなたのリアルとのリンクが提示されている。そのリンクを辿っていくうちに、やがてあなたの中でリアルとファンタジーの境界は崩れ始めるのだ。

シナリオライターの立場としても、ゲームの中のリアルと、あなたのリアル——2つのリアルが地続きだと感じてもらうためのシナリオ作りを常に意識している。

——さて、あなたの見ているモニタに映っているのは、本当にゲームの世界ですか?

アートディレクター
北原 史尋
きたはら ふみひろ

むかしむかし、キューブリックがC・クラークに電話をかけてポツリと一言。
「語り草になるSF映画を撮りたいんだが——」
この言葉が生み出したのが「2001年宇宙の旅」……だったかと。確か。うろ覚えです。
2001がSFを通じてテツガクとか考えれちゃうような作品だったのと同様、
科学ADVシリーズも作品観賞という対岸の火事見物の中に、お前の現実マジ現実かい?的な不安の種を撒いてくるのがいやらしい。
すごい、すごいぞ志倉千代丸。
さてさて、語り草になる作品にするには見た目=デザインの良さもとっても大事。
志倉さんの毎度高いハードルも踏まえ、手垢がついたものを新しく見せるのか、
はたまた見たことないものを普通に見せるのか。
順序はどうあれ「すべてがあるべきところにある」所に落とし込まないとデザインにはなりません。
使い慣れた道具の美しさに気付く人は少なく、さりとてそこを目指し苦しみもがきながらデザイナーは筆を握るのであります。
次なるお題は何かしら…?嫌ですね、怖いですね、そして、楽しいですね。
まあ見ててください。これから更に、すんごいゲームが出てきますから。

原画・作画監督
松尾 ゆきひろ
まつおゆきひろ

―妄想は実現され想定とは異なる時代へうつり拡張された現実は超常のナニカを創り出す。

自分の科学ADVポータルは『CHAOS;HEAD』。それまでいわゆるギャルゲー的ADVゲームを作り続けていたのだけど、
「実際にこんな科学要素がある!理論がある!それらを混ぜ込んだらほら、面白いだろ!?」とギラギラと語る志倉さんに引っ張られて作る科学ADVシリーズは、ADVゲームの考え方、作り方、面白さ、そして見せ方の世界を拡げてくれました。

シリーズも10年を超え、タイトルも増え、世界のいろんな人に遊んでもらってる。TVアニメで観てもらってたり。かつては思いもよらない嬉しいことです。
今回ポータルサイトが新たになってますます科学ADVが拡がっていくんでしょう。拡がれ。
拡がった先でみなさんが目にするのがこれまでの日常をもっとワクワクに出来るモノであるよう鉛筆とタブレットペンを振るうのです。

―そろそろディソード出てきてくれないかなー。

サウンドクリエイター
阿保 剛
あぼ たけし

皆様こんにちは。科学ADVシリーズのBGM/SEを担当させて頂いております阿保剛です。
シリーズ第1作目のサウンド開発を始めたのが2007年の10月。
そこから始まった科学ADV作品の数々。
皆様がお気に入りの作品、エピソード、キャラクター、楽曲はどれでしょうか?
私は選ぶ事が難しいくらい数々の要素があり、それはどのBGMも気に入っている事にとても似ています。
どの作品もプロジェクトに参加する瞬間の高揚感があり、
濃厚な物語・設定を把握するほど膨大なサウンドイメージが頭の中で泡の様に湧き出るので、
それぞれを書き留めつつ形にしていく楽しさも醍醐味だったりします。
アニメ化された作品や劇場版含めてそれぞれ思い入れがあり、
音にメッセージを込めたりなど制作側も楽しませて頂いております。

そして、これからも増え続ける新世界。
私自身もワクワクしてます。
そんなワクワク感を生み出す科学ADVシリーズを、今後ともよろしくお願い致します。